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ネコラム2018年12月26日

奇跡の748SP <バージョンアップ編>

奇跡のバイクが奇跡の地に戻ってきました。

懐かしい風のにおいと、すっかり開発が進み様変わりした仙台港近辺の景色にきっと748SPも驚いたはず!

普段はクールなフクダテクニカさんも久しぶりに会う748SPにウルッと来たのか来なかったかは定かではありませんが・・・(笑)、とりあえずバイクは無事仙台に到着しました。

久しぶりに会った748SPは、いろいろと変化していました。カウルも、メーターステーも当時とは別のものに変わっていました。

それはそうですよね、もう7年も経ったのですから当然です。

ところで、今回取り付けるスターレーン社製のDavinci-IIは、様々な種類のダッシュディスプレイを製造しているスターレーン社の最新のトップエンドのモデルで、コンパクトなボディに収まった鮮やかなカラー液晶ディスプレイ、内蔵のGPSと世界中の主要サーキットマップのデータを用いた正確なラップタイム表示、内蔵慣性センサーによる左右最大バンク角の表示、その他書ききれないほどの盛りだくさんな特徴を持っています。

また、主要車種に対応したプラグ・アンド・プレイのアダプターハーネスも用意されていて、ウインカーや水温、燃料警告灯、ヘッドライトの点灯表示、ハイビームランプの表示、ニュートラルのランプ、オドメーターなど標準のメーターに表示される内容もバッチリ網羅されています。スゴ過ぎます。

おまけに、別売りのワイヤレスモジュールを追加して、サスペンションのストロークセンサーや空燃比を計測するラムダセンサーをモジュールに接続しておくと、データロガーとしても使用でき、そこで計測している内容を無線でダッシュディスプレイに飛ばして表示しちゃうというアクロバティックなことまでやってのけるのです。

ただ、今回このダッシュを取り付けるDucati 748SP用にはアダプタハーネスは用意されていないので、汎用のユニバーサル・ハーネスを使って接続していきます。

これが、意外と大変でした。

エンジン回転数、水温、燃料警告センサー、ギアポジションなどそれぞれの項目を一つずつ拾って正確にダッシュに表示するようにセットしていかなくてはなりません。このあたりがメーターの換装の難しさです。

カスタムの匠、フクダテクニカさんと綿密に打ち合わせ。

全てのセットアップを完了してパワーONした時の感激はひとしおでした。

Davinci-II Neutral lamp ON

Ducati 748SPは、もはやDucatiのラインナップの中でも旧車の部類に入るモデルですが、今回奇跡の再会をきっかけに、ダッシュメーターをバージョンアップしてイキイキと走る姿を想像すると、名車よ永遠なれと思わずにはいられませんでした。

スターレーン製Davinci-IIの詳細は近日中にProductsのページでご紹介の予定です。

ネコラム2018年12月25日

奇跡の748SP <再会編>

以前、こちらのコラムで紹介した「奇跡の748SP」、コラム読者の皆さんの中には覚えていらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

初耳とおっしゃる方にはぜひこちらのコラムを読んでいただければと思います。

そのDucati 748SPで、また小さな奇跡が起こったお話です。

それは、2018年の9月のことでした。岡山のテストから戻るとワークショップに1通のFAXが届いていました。

それは、レイクラフトのコラムをご覧になって連絡されてきた、あの748SPの新しいオーナー様からでした。

ふと、懐かしさと驚きと嬉しさがが入り混じった不思議な心境になりました。またあの748SPに再会できるなんて! 

さかのぼること7年前、仙台のフクダテクニカさんでECUのカスタムを終えた直後に震災に遭い、それでも奇跡的に難を逃れた748SP、沖縄で過ごしていたと思っていたその車両が今度は横浜に戻ってきていたなんて。不思議です。これは小さな奇跡です。

今回、新オーナー様からご連絡を頂いたのは、当時装着したFALCONダッシュが破損してしまったため、交換できないかとのお問い合わせでした。

ん~、残念ながらFALCONダッシュは生産終了となりもう手に入れることはできません。

何か良いダッシュメーターはないだろうか?いつも悩むところです。

メーターは換装がとても難しい電装部品の一つです。

電装系がもっとシンプルだったかつてのバイクなら、タコ信号と車速信号、水温センサーなどをつないでアナログの汎用メーターをつけるとか出来たかもしれませんが、電気マシーンと化している最近のバイクでは、ノーマルのECUからの信号を簡単には拾えなくなっていたり、IDの公開されていないCAN信号でつながっていたり、はたまた、メーターが制御の一部を担っていたりと、簡単には手出しできない状況になっています。

さらに、公道でも使用するとなると、ウインカーや燃料警告灯、ヘッドライトの作動、それらとつながるスイッチもちゃんと動かせなくてはなりません。

おまけに、この748SPはECUをMicrotec(マイクロテック)製のM180に換装しています。

ハードルはかなり高いです。

そこで、今回白羽の矢が立ったのが、スターレーン社製のDavinci-II S(ダヴィンチ-II S)です。

このダッシュを取り付けるお話は次のコラムでご紹介します。

どうぞ、お楽しみに~!

ネコラム2017年3月14日

DBW化プロジェクト第2弾 Ducati749R 火入れ!

どうでしょう!このスムーズでリニア感のあるバタフライの動き!

シフトペダルの動きと絶妙にリンクするブリッピング!

そもそもなぜDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)にするのか?

その答えはここにあるのです。

 

どうしてわざわざお金も時間も掛けてそんな面倒な電装系を組み込むのか?と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますので、ここで簡単にDBWの仕組みとDBW化のメリットをご説明をさせて頂きます...と思いましたが、以前そのあたりの詳しくわかりやすい説明を別のコラムで解説しておりますので、知りたい方はぜひこちら↓のコラムをご覧ください。

Ducati MH900e DBWプロジェクト! 始動 <前振り>

今回の749RのDBWプロジェクトでは、スロットルボディはオリジナルを使用し、2つのボディの結合プレートの部分にDBWのモーターが内蔵されたユニットを組み込みました。

このユニットの中央部分に遊星ギアを用いたリダクションギアを介したモーターの軸があり、この軸につながったリンクプレートとロッドで双方のスロットルバルブを連動させる仕組みです。

それがこちらの画像です。

IMG00732

 

DBW_1

冒頭の動画では伝わりづらいですが実際にはこのDBWのスロットルバルブの動きは驚くほどスムーズで繊細。

かつて、バレンティーノ・ロッシがYAMAHAのM1に初めて試乗したときの最初のコメントが、”Sweet!”だったらしいですが、このDBWもまさに”Sweet!”そのものです。

最近は輸入・国産問わずDBWの量産車が増えてきましたが、量産車に搭載されているDBW制御のスロットルバルブの動きとは違う繊細さがあります。この違いは一般的な量産型DBWギアボックス+大慣性モーターと遊星ギア式ギアボックス+小慣性モーターの違いではないでしょうか?

このスムースなスロットルの動きはライダーの要求に対応できるエンジンブレーキコントロールの実現を予感させます。

Ducatiのカスタムの匠!フクダテクニカさんといろいろ打合せしながら作業を進めてゆきます。

DBW_2

車体にスロットルボディがきれいに収まりました。

IMG00746

IMG00755

ECUはマイクロテックのM232R, DBWのドライバーは同じくマイクロテックのM282。この2つのモジュールはCANで通信しています。

今回は亀の親子の様に二段重ねに。M232RのほうはFW(ファームウェア)およびSW(ソフトウエア)のプログラマーの名前にちなんで、Luca(ルカ)と呼び、M282は最近生まれたLucaの息子の名前にちなんでPietro(ピエトロ)と勝手に呼んでいます。

IMG00753

DBWの初期設定をインプットしていざ火入れ!

エンジン掛かりました~(^_-)-☆

でも、まだまだ細部のセッティングを詰めていかなければなりませんが、今回はここまで。

次回<完結編>(だといいのですが…)をお楽しみに。

 

 

ネコラム2017年3月11日

DBW化プロジェクト第2弾 Ducati749R 始動!

DBW_1

皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか?

6年前、津波にのまれて潮水に浸かってしまい、もはや絶望かと思われていたDucati749Rの復活のお話。

(その詳しいお話はこちら↓)

749Rの復活

今回はその復活した749RがさらにDBWに進化するプロジェクトのお話です。

あれから6年経ち、ちょうどその日を挟んだこの時期に、仙台でまたこのバイクの仕事をさせて頂けるのは本当に運命的なものを感じます。

そして、RaycraftのDBW化プロジェクトは前回のDucati MH900eに続いて第2弾となります。

(第1弾の詳しいお話はこちら↓)

Ducati MH900e DBWプロジェクト! 始動 <前振り>

今回のDBWプロジェクトの展開はどうなってゆくのか!?
乞うご期待です。

とりあえず今日のところは前振りで...

ネコラム2016年10月23日

2016もてぎGP moto2ワイルドカード参戦サポートを振り返って。

フェイスブックページでも速報で今年のもてぎGPへのmoto2ワイルドカード参戦サポートの様子をお伝えしましたが、こちらのコラムではレイクラフト目線での参戦サポートを振り返っての雑感をお伝えしたいと思います。

まず、moto2ワイルドカード参戦の概要ですが、今シーズン全日本ロードレース選手権のJ-GP2クラスにTeamKAGAYAMAから参戦している浦本修充選手は第8戦の岡山大会終了時点で、ランキング2位の関口太郎選手に22.7ポイント差で現在ポイントリーダーとなっています。

ただ、浦本選手がJ-GP2で使用している車両はスズキ車で、ホンダエンジンを搭載することがレギュレーションで規定されているmoto2クラスに参戦することは難しく、これまでもホンダ車以外を使用しているライダーのワイルドカード参戦には壁がありました。そこで、チーム監督の加賀山就臣氏がメーカーやチームの枠を超えてJ-GP2クラスの他チーム等に支援・賛同を呼びかけ、車両もKALEX車を準備し「Japan-GP2」というチームでJ-GP2クラスを代表する形で参戦が実現したものです。

moto2_kagayama

参戦の経緯やレースの詳細はいろいろなサイトやメディアでレポートされているので、さらに詳しい情報はそちらでご覧頂くとして、ここからはレイクラフト目線のmoto2ワイルドカード参戦サポートのレポートを進めたいと思います。

1.車両

今回TeamKAGAYAMAを母体とするチームJapan-GP2が準備した車両はmoto2で圧倒的なシェアを誇るKALEXというコンストラクタの車両です。この車両にmoto2で規定されているホンダ製エンジンを搭載してレースすることになります。

moto2のレギュレーションでは、エンジンがホンダ製ワンメイク、データロガーの使用も2D製に限られ、ワイルドカード参戦のチームにはレースウィークの木曜日朝に主催者からエンジンやECU,データロガー、トランスポンダが供給されるという仕組みになっています。ですから、ワイルドカード参戦チームは文字通りぶっつけ本番の勝負になります。

幸いなことに、チームJapan-GP2で用意したKALEX車両は、以前にmoto2やスペイン選手権に参戦していた車両で、moto2のレギュレーション通りの仕様であったため、私たちレイクラフトで請け負う電装系の部分についてはECUはもとより、データロガーやハーネス、付属の電装部品もほとんど揃っている状態でしたので大変助かりましたし、事前に行った2回のテスト走行時にほとんどの電装系部品の作動確認を行うことが出来ました。これは「段取り八分」のレースの電気屋の仕事的には大変アドバンテージのある事でした。
唯一の懸念点は初めて使用するmoto2専用のトランスポンダ X2を間違いなく取付・作動できるかどうかという点でしたがこれも支給されたレースウィークの木曜日にIRTA*1の担当者から詳しく説明を聞くこともできたので問題なくクリアできました。

moto2_transpondar

2.レースの運営
私たちレイクラフトのGP関係サポートは、1999年のもてぎGPでのGP125クラスワイルドカード参戦の中村実選手(決勝10位)、2003年の鈴鹿GPでのMotoGPクラス参戦のKawasaki柳川選手に続き3回目となりますが、13年ぶりのGPは当時に比べ格段の変化がありました。(当たり前ですが・・・)
まず、ワイルドカード参戦チームの待遇は、様々なレギュレーションの縛りは確かに厳しいですが、レース環境的にはかなり改善され、チームのテントも雨風を凌ぐはいうに及ばず大変素晴らしいピット環境となり、フリープラクティスからレース当日の朝のフリープラクティスまではそのテントにピットイン・ピットアウトする仕組みになっていました。もう、どこかのチームのピットの前を借りて走行するようなことはなくなっていたのです。

moto2_pit

また、moto2クラスはエンジンが主催者から供給されるというシステムの関係もあると思いますが、毎セッション終了ごとに、ロガーデータをIRTAの担当者に提出する仕組みになっていて、エンジンの使用回転域の状況やそれにまつわるシフターの設定などについてアドバイスを受けることもありました。
また、使用するガソリンもオイルもすべて支給されます。要は出力にかかわる部分は徹底してイコールコンディションになるように管理・運営されているということです。とてもシステマティックでスマートです。

3.総括
様々なレギュレーションによりワイルドカード参戦のチームにとってはハードルが高くなってきているのは事実ですが、そのレギュレーションを遵守し、管理・運営出来ているMotoGPという大きな意味での興行組織の運営は大変素晴らしいと思います。
それぞれのチームに携わる人たちは「仕事」として関わっており、またこの興行の運営にかかわる人たちも「仕事」として働いており、商業的に十分成り立つビジネスモデルとして成立しているということです。
そして、それはMotoGPという興行に対する運営資金を調達できているからこそのものだと思います。

日曜日にレースが終わった後、恐らく月曜日にはチームの車両やその他諸々の荷物も迅速に運搬され、もてぎのあとその週の水曜日にはオーストラリアのフィリップ・アイランドに到着しているのです。恐るべしロジスティクスです。プロフェッショナルな仕事です。

MotoGPと日本のロードレースの現状を比較してどうこう言うのは早計ですが、いろいろな面で学ぶところは大変多いと思いますしこのような機会にトップクラスのレースを経験することで、現状を再確認出来れば得るものは大きいと思います。

*1 IRTA : The International Road Racing Teams Association: MotoGPに参戦するチーム、サプライヤー、スポンサーを統括する組織